ハイエンド車種を中心に、自転車に広く使用されている(カーボン)
※ 軽くて、丈夫、高級、なイメージがある素材。 正しい扱い方、事前点検をする事でトラブルを未然に防ぐ事ができます。
目次
カーボンとはどんな素材!?
(カーボン) と呼ばれるものの正体は、(炭素繊維強化プラスチック CFRP) つまり、カーボン繊維で強化したプラスチックです。 カーボン繊維を織物状にして、それにエポキシ樹脂などを染み込ませて固めたものです。
金属材料、(アルミ、スチール、クロモリ)と比べて、
非常に軽い、自由に成型でき、各部の特性を自由にコントロールできる、強度が強い、弾性率が高い
つまり、変形しにくいので、航空機、レーシングカーなどにも使われています。
自転車に使われるカーボン素材
この様な優れた特性から、カーボン素材はハイエンドモデルのロードバイクに積極的に採用され、軽量化に貢献しています。 また、最近ではハイエンドモデルではなくても、カーボンパーツとして部分的に採用されているモデルが多数出てきています。(シートポスト、フォーク、シートステーなど)
カーボンの種類
自転車に使われるカーボンの性能を説明するのに ※例(50HM1Kカーボン使用)など書かれている場合があります。
この記号の意味Kはカーボン繊維の本数、カーボン繊維を何本束ねた糸を使ってカーボンシートを製造したかを示しています。 1Kは1000本の糸を束ねた物を示します。 つまり、12Kなどはかなり太い糸を織ったシートを使っている、という事です。
これによる差は、1Kは細い糸で編んだ織物。 12Kは毛糸のような太い糸で編んだ織物、と考えると分かりやすいかもしれません。 1Kは硬めで薄く軽い。 12Kは柔らかくて厚めで重い。
自転車ではKが異なるシートを使用する部位ごとに使い分けている製品も多く、この値がそのまま性能の指標になるわけではありません、 また表面にカーボン繊維の模様が見えている製品は、表面に化粧カーボンという装飾のための12Kカーボンシートをかぶせてあることが多いです。
記号HM
HM(ハイモジュラス、高弾性カーボン) 従来のカーボン繊維より高弾性率、つまり、大変変形しにくい物を使用して成型したカーボン素材です。 ※例 50HMは、1mm^2あたり50tの引張強度を持つ、という意味を表します。従来品より硬い製品を作る事ができます。
カーボン製品の取り扱い
カーボン繊維そのものの寿命は数十~百年あるとされています、しかし、プラスチック(エポキシ樹脂)の寿命は扱われ方により大きく変化するので、自転車での使用を考えると数年程度と考えられます。
樹脂の吸湿を防ぐカーボン製品は、表面に施されたウレタン塗装によつて保護されています。なので、表面に傷、塗装剝がれがあれば、吸湿します。 また、塗装はフレーム内部までは施されないので自転車を水洗い洗車する時は注意してください。 野ざらし保管は避けてください。(樹脂は吸湿すると強度が低下します) 吸湿したカーボン製品が低温になると、樹脂内部で水分が凍結してまれに破損してしまう事があります。
落車の注意
高い強度を持つカーボン素材ですが、限界を超えた衝撃、局所的な衝撃が加わると、素材内部にダメージを受けます、なので金属素材のような傷、ひび割れなどは生じにくく、破損個所が発見しにくいです。 その為、落車、事故などで大きな衝撃が加わったカーボン製品は、カーボンが剝がれて浮いたような箇所、線状の亀裂がないか必ず確認しましょう。 異常がない場合でも専門店、購入したお店などでチェックしてもらいましょう。
カーボン素材は金属素材に比べて衝撃の伝達が早いので、ぶつかった箇所以外にもダメージを受ける場合があります。
※ 私のミニベロロードはアルミ製ですが、SPDペダルになれない時に何度も立ちごけしたりしてハンドルを曲げたりしてはいますが、アルミ素材ならある程度は力業でも戻せますが、カーボン素材は絶対にしないでください、破断します。
カーボン素材箇所に他の素材の部品を取り付けしない
フォークコラムのように、他のパーツによって締め付けされている部分以外には(キックスタンド、シートポストキャリアなど) 外部パーツを取り付けることは出来ません、カーボンは想定されていない部分の圧縮には大変弱く、破損の原因になります。
締め付けトルクにも注意
※使用するトルクレンチは自転車用工具を使用をお勧めします。
トルクレンチの使い方 【動画あり】トルクレンチの使い方・調整方法のコツを分かりやすく解説 | ビルディマガジン (bildy.jp)
カーボン製品を取り付ける時に締め付け方が悪いとパーツにダメージを与える場合があります。 なのでカーボンパーツを取り付ける時は、専用の固定パーツで、トルクレンチを使用して指定のトルクで締め付けるようにしてください。
※トルクレンチを使用する際は必ずネジ山にグリスなどの潤滑剤を塗ってから作業をしてください。締め付けトルクが無意味になります。
締め付け部分に摩擦増強剤を塗ると、低いトルクで十分固定できるのでお勧めです。
カーボンパーツの取り付けについて。
カーボンシートポスト
カーボンシートポストの場合、シートポストの切れ込みと、シートクランプの切れ込みを合わせて固定するとそこの締め付け力が集中してシートポストの破断につながる場合があります。
カーボンシートポストを使う場合は、斜めに切れ込みが入っているシートクランプを使いましょう。または、切れ込みがまっすぐに入っているものは、シートポストとシートクランプの切れ込みをずらして使用する事により、力の分散させることができます。
実際に締め付ける際は、トルクレンチを使用して指定のトルクで締め付けてください。 シートポストにカーボングリスを薄く塗ると摩擦が上がり、少ない力で締めても固定する事ができます。 特に指定トルクで締めても固定力が足らない場合は使用してみて下さい。
カーボンハンドル、ステム
カーボンステムとカーボンハンドルを取り付ける際も、ステムと接する部分に薄く摩擦増強剤を塗ってください。ステムボルトは1本ずつ締めていくときちんと固定できない為、必ず対角に締めていき最後に適正なトルクで対角に増し締めしていきましょう。
※MTB用カーボンハンドルの中には、バーエンドバー利用不可のものもありますので注意してください。
アルミハンドル×アルミステムの組み合わせは締め付けトルクさえきちんと守れば大丈夫ですが、アルミステム×カーボンハンドルは十分注意してください。
アルミステムの指定トルクでカーボンハンドルを固定すると、締め付け過ぎになり、破損するなど危険です。 逆にカーボンステム×アルミハンドルの場合は、締め付けトルクを規定通りにすると十分に固定されずに走行中にハンドルがずれるなど起こりかねません、必ず(締め付けられる方)の指定トルクを参考にしてください。
カーボンコラムのフォーク
アヘッドタイプで、フォークとフレーム、ステムをつなぐ部分がカーボン(カーボンコラム)のものが、高級フォークを中心に存在します。このようなフォークのコラムカットは必ずソーガイドとノコギリを使用し、(パイプカッター)は使用しない、 スターファングルナットではなく、プレッシャープラグを使用してステムとの接続部分には薄く摩擦増強剤を塗ってください。 ステムボルトは交互に少しずつ締めていってください。
※コラム部分がアルミ製(フォーク側、ハンドルコラム側)両方の場合はパイプカッター、スターファングルナットは使用可能です。
まとめ
この様にカーボンはこれからの自転車界、スポーツ業界を牽引する素材ではありますが、見る角度によると神経質になる素材でもあります、そのことを意識してよく点検、保管環境に注意して扱ってください。 機材の軽さは一番の武器でもあり、扱いも大変ではあります。
そのあたりを考慮すれば本当に良い素材であることは間違いないです。
自分好みの自転車ライフに少しずつ取り入れていくのも良いですね。
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